相続・遺言・後見とは?基礎講座の内容を解説

後見
  1. ■ 相続・遺言・後見は「人生の流れ」で考える
    1. ● 元気なうちに
    2. ● 判断能力が低下したとき
    3. ● 亡くなった後
    4. ● 家族でも、なかなか言い出せない話
  2. ■ 元気なうちに行うことは?
    1. ■ フレイルについても知っておく
      1. ■ フレイルは「戻れる状態」
        1. ■ 予防や気づきも大切
          1. ■ ポイント
    2. ● 財産の整理をしておく
      1. ● 預貯金
      2. ● 不動産
      3. ● 保険
      4. ● 借入金(負債)
      5. ● デジタル関係(見落としがち)
    3. ● 家族と話し合っておく
    4. ● 遺言を作成する
    5. ■ 遺言の種類と基本
      1. ● 自筆証書遺言
      2. ● 公正証書遺言
        1. ■ どちらを選べばいい?
    6. ● 任意後見などの備えを検討する
    7. ■ 任意後見のポイント
      1. ● なぜ事前の準備が大切なのか
    8. ● エンディングノートを活用する
  3. ■ 判断能力が低下したとき、どうなるのか
    1. ● 銀行口座が使えなくなる
    2. ● 不動産の売却ができない
    3. ● 契約や手続きができなくなる
  4. ■ 判断能力が低下したときに使う制度は
    1. ● 法定後見制度の利用
    2. ● ただし注意点もあります
  5. ■ 亡くなった後、家族はどんな手続きをするのか
    1. ● まず行う手続き
    2. ● 相続人を確定する
    3. ● 財産を調べる
    4. ● 遺産分割の話し合い
      1. ■ 揉めやすいケース
      2. ● 不動産がある場合
      3. ● 兄弟姉妹での相続
      4. ● 介護の負担が偏っていた場合
      5. ● 生前の話と違うと感じる場合
        1. ■ ポイント
    5. ● 名義変更などの手続き
      1. ● 税理士
      2. ● 弁護士
      3. ● 司法書士
      4. ● 行政書士
      5. ● 銀行などの金融機関
        1. ■ ポイント
  6. ■ まとめ

■ 相続・遺言・後見は「人生の流れ」で考える

相続・遺言・後見は、バラバラの制度ではありません。
どれか一つだけ知っていればよい、準備しておけば安心、というものでもありません。

それぞれ役割があり、
人生の流れの中でつながっています。

大きく分けると、次の3つのタイミングです。


● 元気なうちに

これからのことを考え、準備しておける時期です。
誰に何を任せるのか、どのように引き継ぐのかを決めておくことができます。

そして実は、
元気なうちにしかできないことも多くあります。


ただ一方で、

  • 「まだ必要ないかもしれない」
  • 「今すぐじゃなくてもいいかな」

と感じてしまい、なかなか進まないことも少なくありません。


例えば身の回りの整理もそうです。

  • 片付けは体力がないとできない
  • でも「もったいない」と感じて手放せない

こうした気持ちはとても自然なものです。


● 判断能力が低下したとき

「もしものとき」にどうなるのかを知っておくことが大切です。


  • 何も準備していないとどうなるのか
  • 「やっておけばよかった」と後悔しやすいこと
  • 今からでもできる備えはあるのか

こうした現実を知ることで、必要な準備が見えてきます。


ただし、すべての方が判断能力の低下を経験するわけではありません。
そのまま元気に過ごされる方もいらっしゃいます。

だからこそ、

「本当に必要なのか」と迷われる方も多いのが、この分野の特徴です。


それでも、
判断能力が低下してしまった場合には、
できることが大きく制限されてしまいます。


そのため、

👉 「万が一に備える」
👉 「保険をかけておく」

というイメージで、考えておくことが大切です。


● 亡くなった後

実際に手続きを行うのはご家族です。


  • 家族はどんな手続きをすることになるのか
  • 困ることは何か
  • 自分はどうしてほしいのか

を考えておくことで、ご家族の負担を減らすことができます。


実際のご相談では、こんなお声をよくお聞きします。

  • 「自分も手続きをしたことがあるから大丈夫」
  • 「うちの子どもたちは仲がいいから揉めない」
  • 「財産もそんなにないから問題ないと思う」

もちろん、その通りになるケースもあります。

ですが実際には、

  • 手続きの多さに戸惑う
  • 書類集めに時間がかかる
  • 思っていた以上に手間がかかる

といった場面に直面することも少なくありません。


また、
「揉める・揉めない」だけではなく、

👉 手続きがスムーズに進むかどうか
👉 家族の負担が軽くなるかどうか

という視点もとても大切です。


少しだけでも準備をしておくことで、
ご家族にとって大きな助けになります。

● 家族でも、なかなか言い出せない話

相続や終活の話は、
本当は大切だと分かっていても、なかなか切り出しにくいものです。


特にお子さんの立場からは、

  • 「こんな話をしたら失礼かもしれない」
  • 「早く死ねと言っているように思われないか」
  • 「親を不安にさせてしまうのではないか」

と感じてしまい、言い出せないというお声をよく聞きます。


一方で、

👉 気にはなっている
👉 いつかは考えないといけないと思っている

という方も多くいらっしゃいます。


だからこそ、

どちらか一方が抱え込むのではなく、
少しずつでも話せるきっかけを作ることが大切です。

■ 元気なうちに行うことは?

元気なうちは、これからのことを自分で決められる大切な時期です。
このタイミングでの準備が、将来の安心につながります。


■ 判断能力の低下について知っておくこと

認知症は、誰にとっても無関係なものではありません。

現在は、
👉 65歳以上の約5人に1人が認知症になるともいわれており、
年齢が上がるにつれてその割合は高くなっていきます。


また、最近では

👉 **MCI(軽度認知障害)**という言葉も聞かれるようになりました。

これは、
認知症の一歩手前の状態とされており、
早めに気づき、適切に対応することで

  • 認知症への進行を遅らせる
  • 進行を防ぐ可能性がある

といわれています。

■ フレイルについても知っておく

認知症とあわせて知っておきたいのが、
👉 フレイルという考え方です。


フレイルとは、

👉 加齢により心身の機能が低下し、
👉 健康な状態と要介護の中間にある状態

を指します。


例えば、

  • 以前より疲れやすくなった
  • 外出の機会が減った
  • 人と話す機会が減った
  • 食事量が減ってきた

といった変化が見られる場合は、
フレイルのサインといわれています。


■ フレイルは「戻れる状態」

フレイルの大きな特徴は、

👉 早めに気づき、対策をすれば改善が期待できることです


  • 適度な運動
  • バランスの良い食事
  • 人との交流

こうした日々の積み重ねが、
健康な状態を保つことにつながります。


■ 予防や気づきも大切

制度の備えだけでなく、

  • 日々の生活習慣
  • 人との関わり
  • 適度な運動や刺激

なども、認知症予防の観点では大切とされています。


■ ポイント

認知症については、

👉 「なってから考える」のではなく
👉 「なるかもしれない前提で知っておく」こと

が大切です。


そのうえで、

👉 制度の備え(任意後見など)と
👉 日常の予防・気づき

両方を意識しておくことが、安心につながります。


● 財産の整理をしておく

まずは、自分の財産を把握することから始めます。
どこに何があるのかを整理しておくことで、ご家族の負担を減らすことができます。


● 預貯金

  • 使っていない口座は解約しておく
  • どこの金融機関に口座があるか一覧にしておく

👉 「口座が見つからない」というケースも少なくありません


● 不動産

  • 名義の確認
  • 共有になっている場合の状況
  • 固定資産税や維持費の確認

また、

  • 将来売却してもよいのか
  • 誰かに引き継いでほしいのか

といった考えも整理しておくと安心です。


● 保険

  • 契約内容の確認
  • 受取人が誰になっているか

保険は、

  • 契約者
  • 被保険者
  • 受取人

の組み合わせによって、税金の扱いが変わることがあります。

👉 相続対策として活用する場合は、税理士など専門家の意見も参考になります


● 借入金(負債)

  • 借入の有無
  • 返済状況

借入金も相続の対象となるため、
ご家族に伝えておくことが大切です。


● デジタル関係(見落としがち)

  • スマートフォンのパスワード
  • ネット銀行・証券口座
  • サブスクや各種アカウント

👉 いわゆる「デジタル遺産」も重要になっていますおくことで、
ご家族の負担を減らすことができます。


● 家族と話し合っておく

■ 家族と話し合っておく

意外とできていないのが、「気持ちを伝えること」です。


  • 誰に何を引き継ぎたいか
  • どうしてほしいか
  • 困ったときは誰に頼るか

少しでも共有しておくことで、後のトラブルを防ぐことにつながります。


ただ実際には、

  • 子どもが複数いると、どちらにもいい顔をしてしまう
  • はっきり決めずに、その場をやり過ごしてしまう

というケースも少なくありません。


ですが、こうした状態のままだと、

👉 受け取る側の認識にズレが生じ
👉 混乱や争いのきっかけになることもあります


だからこそ、

  • 家族が集まったときに少し話してみる
  • 自分の考えをできるだけ明確にしておく

ことが大切です。


すべてを一度に決める必要はありませんが、
「伝えておく」ということ自体が、大きな意味を持ちます。

「こうした気持ちを形に残す方法の一つが、遺言です。」


● 遺言を作成する

遺言は、亡くなった後のトラブルを防ぐための大切な準備です。


  • 相続人同士の話し合いを省略できる
  • 手続きがスムーズになる
  • 自分の意思を残すことができる

特に、

  • 不動産がある場合
  • 家族関係に不安がある場合
  • 子どもがいないご夫婦

などは、早めの作成がおすすめです。


■ 遺言の種類と基本

遺言にはいくつか種類がありますが、
よく使われるのは次の2つです。


● 自筆証書遺言

自分で書いて作成する遺言です。

メリット

  • 費用がかからない
  • 手軽に作成できる

注意点

  • 書き方に不備があると無効になることがある
  • 紛失や改ざんのリスクがある

👉 法務局での保管制度を利用する方法もあります


● 公正証書遺言

公証役場で、公証人と一緒に作成する遺言です。

メリット

  • 形式不備の心配がない
  • 原本が保管されるため安心
  • 相続開始後、すぐに手続きに使える(検認不要)

デメリット

  • 費用がかかる
  • 作成に手続きが必要

■ どちらを選べばいい?

手軽さで選ぶなら「自筆証書遺言」
確実性で選ぶなら「公正証書遺言」

👉 迷った場合は、公正証書遺言が安心ですや家族関係に不安がある場合は、
早めの作成がおすすめです。


● 任意後見などの備えを検討する

■ 任意後見などの備えを検討する

将来、判断能力が低下したときに備える方法もあります。


  • 任意後見契約
  • 財産管理委任契約
  • 見守り契約 など

これらは、

👉 「もしも」のときに備えて
👉 誰に何を任せるかをあらかじめ決めておくものです


■ 任意後見のポイント

任意後見契約は、元気なうちに契約しておき、
判断能力が低下したときに効力が発生する仕組みです。


● なぜ事前の準備が大切なのか

何も準備していない場合、
判断能力が低下した後は、

👉 家庭裁判所に申立てを行い
👉 法定後見制度を利用することになります


その場合、

  • 誰が後見人になるかは選べないことがある
  • 専門職が選ばれるケースもある
  • 柔軟な対応が難しいこともある

もちろん法定後見制度も大切な仕組みですが、

👉 「自分で決めておきたい」
👉 「信頼できる人に任せたい」

という方には、任意後見という選択肢があります。


● エンディングノートを活用する

必須ではありませんが、気軽に始められる方法です。


  • 連絡先
  • 医療や介護の希望
  • 財産のメモ

などを書いておくことで、ご家族の助けになります。


エンディングノートは、
遺言書のような法的な効力はありませんが、

👉 気持ちや情報を自由に残せるものです


例えば、

  • どんな思い出を大切にしているか
  • 大切にしているもの
  • 葬儀やお墓の希望
  • 介護の希望

など、遺言書には書かないような内容も残すことができます。


また、

もし認知症などで判断能力が低下した場合には、

  • これまでの趣味
  • 好きなこと・嫌いなこと
  • これまでの生活や経歴

といった情報があることで、
周囲の方とのコミュニケーションにも役立つことがあります。を書いておくことで、ご家族の助けになります。

■ 判断能力が低下したとき、どうなるのか

認知症などにより判断能力が低下すると、
これまで当たり前にできていたことができなくなります。

そして、何も準備していない場合、次のようなことが起こる可能性があります。


● 銀行口座が使えなくなる

金融機関は、本人の判断能力に不安があると判断すると、
口座の取引を制限することがあります。

  • 生活費の引き出しができない
  • 施設費用の支払いができない

といったケースもあります。


● 不動産の売却ができない

自宅を売却して施設費用にあてたい場合でも、
本人の意思確認ができないと手続きが進められません。

👉 家族でも代わりに判断することはできません


● 契約や手続きができなくなる

  • 介護施設の契約
  • 各種名義変更
  • 解約手続き

なども、本人の判断能力が必要になります。



■ 判断能力が低下したときに使う制度は

判断能力が低下してからできることは限られますが、
状況によっては対応できる場合もあります。


● 法定後見制度の利用

家庭裁判所へ申立てを行い、
後見人を選任してもらう制度です。

👉 本人の財産管理や契約をサポートしてもらえます


● ただし注意点もあります

  • 誰が後見人になるかは選べない
  • 継続的な報酬が発生する
  • 柔軟な対応が難しいこともある

■ 亡くなった後、家族はどんな手続きをするのか

亡くなった後、実際に手続きを行うのはご家族です。
そして、思っている以上にやることが多く、時間もかかります。


● まず行う手続き

  • 死亡届の提出
  • 葬儀の手配
  • 健康保険・年金の手続き

短期間のうちに、さまざまな手続きが必要になります。


● 相続人を確定する

誰が相続人なのかを確定するために、
戸籍を収集していきます。


現在は、最寄りの役場で
戸籍を一括して取り寄せることができる制度もあります。


ただし、

  • 取得できるのは直系の親族の戸籍が中心
  • 兄弟姉妹の相続人となる場合は、本籍地での取得が必要になることもある

など、すべてが一度でそろうとは限りません。


また、

  • 役所が混雑している
  • 戸籍の枚数が多い

といった場合には、

👉 その日のうちに受け取れず
👉 後日、平日に再度取りに行く必要がある

こともあります。


● 財産を調べる

  • 預貯金
  • 不動産
  • 保険
  • 借入金

など、すべての財産を把握する必要があります。


👉 何も教えてもらっていない、整理されていない場合は、

  • どこの銀行に口座があるのか分からない
  • 保険に入っているか分からない
  • 借入があるのかどうかも不明

といった状態から探していくことになります。


その結果、

  • 通帳や書類を探す
  • 郵便物や引き落とし履歴を確認する
  • 各金融機関に問い合わせる

など、時間と手間がかかる作業が続きます。


また、

👉 思いがけない財産や借入が見つかることもあり
👉 手続きが複雑になるケースもあります


● 遺産分割の話し合い

遺言がない場合、
相続人全員で話し合い(遺産分割協議)を行います。


  • 全員の同意が必要
  • 一人でも反対すると進まない

👉 ここでトラブルになることも少なくありません


■ 揉めやすいケース

実際によくあるのは、次のようなケースです。


● 不動産がある場合

  • 「売って分けたい人」と「住み続けたい人」で意見が分かれる
  • 評価額の考え方で揉める

● 兄弟姉妹での相続

  • もともと関係が疎遠
  • 配偶者(義理の家族)が関わって意見が分かれる

● 介護の負担が偏っていた場合

  • 「自分が世話をしてきた」という思い
  • 「平等に分けるべき」という意見

👉 感情の問題が入りやすいポイントです


● 生前の話と違うと感じる場合

  • 「あの時こう言っていたのに」
  • 「自分が多くもらえると思っていた」

👉 はっきり形に残っていないことが原因になることもあります


■ ポイント

相続は、

👉 財産の問題であると同時に
👉 気持ちの問題でもあります


そのため、

👉 「揉める人がいるから」ではなく
👉 「誰でも揉める可能性があるもの」として

考えておくことが大切です。


● 名義変更などの手続き

相続手続きでは、内容に応じてさまざまな専門家が関わります。


● 税理士

相続税がかかる場合は、税理士が関わります。

  • 相続税の申告
  • 節税のアドバイス

👉 財産が多い場合や不動産がある場合は検討が必要です


● 弁護士

相続人同士で意見が対立している場合など、
揉める可能性があるときは弁護士が対応します。

  • 遺産分割の交渉
  • 調停・裁判対応

● 司法書士

不動産の名義変更(相続登記)は司法書士が専門です。


● 行政書士

行政書士は、相続手続きの書類作成などをサポートします。

  • 遺産分割協議書の作成
  • 各種手続きのサポート
  • 車の名義変更
  • 農地に関する届出

● 銀行などの金融機関

預貯金の解約や名義変更は、各金融機関で手続きを行います。行政書士や司法書士に依頼可能です。


■ ポイント

相続は一人の専門家だけで完結するものではなく、
内容に応じて連携して進めていくことが大切です。。

■ まとめ


相続・遺言・後見は、それぞれ別の制度ですが、
すべて人生の流れの中でつながっています。


  • 元気なうちにできること
  • 判断能力が低下したときに備えること
  • 亡くなった後にご家族が行う手続きへの備え

それぞれの場面で、どうなるのか、
できること・考えておくこと・知っておくことが大切です。

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